コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

2022-01-01から1年間の記事一覧

中国に生まれ育った人々の思考や行動を理解するために〜武内義雄『中国思想史』

中国思想史 (講談社学術文庫) 作者:武内義雄,浅野裕一 講談社 Amazon なぜこの本を読むことにしたか なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解像度をあげる書物、 ③好きだから読む書物 この…

さまざまなジャンルの小説の原型を打ち立てた傑作たち〜エドガー・アラン・ポー《全集》

アラン・ポー全集(30作品収録) 新海外文学電子大系 作者:エドガー・アラン・ポー,佐々木直次郎,森鴎外 芙蓉出版 Amazon アッシャー家の崩壊/黄金虫 (光文社古典新訳文庫) 作者:ポー 光文社 Amazon 黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫) 作者:ポー …

【おすすめ】新米獣医のあたふた奮闘記〜J. Herriot “All Creatures Great and Small”

All Creatures Great and Small (English Edition) 作者:Herriot, James Open Road Media Amazon ヘリオット先生奮戦記 上 (ハヤカワ文庫 NF 76) 作者:ジェームズ・ヘリオット 早川書房 Amazon ヘリオット先生奮戦記 下 (ハヤカワ文庫 NF 77) 作者:ジェーム…

ウイルスと人間のはるか昔からの関わり〜山内一也『新版 ウイルスと人間』

新版 ウイルスと人間 (岩波科学ライブラリー) 作者:山内 一也 岩波書店 Amazon なぜこの本を読むことにしたか なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解像度をあげる書物、 ③好きだから読む…

植物のひみつ〜稲垣栄洋『面白くて眠れなくなる植物学』

面白くて眠れなくなる植物学 作者:稲垣 栄洋 PHP研究所 Amazon なぜこの本を読むことにしたか なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解像度をあげる書物、 ③好きだから読む書物 この本は②…

人生を切り開くために〜ハリエット・アン・ジェイコブズ『ある奴隷少女に起こった出来事』

本に出会うこともまた物語だというけれど、この本を買ったのはほんとうに偶然だった。 ふだん行かないスーパーに買い物に行こうと思い立ち、スーパーの横にある個人経営の小さな書店がたまたま目に入り、なんとなくふらりと入って、なんとはなしに何か買わな…

天才女医の診断事件簿〜知念実希人『天久鷹央の推理カルテ』

地域医療を担う、病床数600以上の天医会総合病院。そこには統括診断部という変わった部門があり、所属員は部長である女医・天久鷹央と所属医・小鳥遊優のたったふたり。膨大な知識を有し、超人的な記憶能力、計算能力、知能、好奇心をそなえながら、人付き合…

21世紀の覇者は誰か〜NHKスペシャル取材班『米中ハイテク覇権のゆくえ』

なぜこの本を読むことにしたか なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解像度をあげる書物、 ③好きだから読む書物 この本は②。トランプ政権下のアメリカが中国に仕掛けた貿易戦争や、ファー…

ここではないどこか、いまの生活ではないなにか〜アントン・チェーホフ《チェーホフ全集》

ワーニャ伯父さん/三人姉妹 (光文社古典新訳文庫) 作者:チェーホフ 光文社 Amazon 桜の園/プロポーズ/熊 (光文社古典新訳文庫) 作者:チェーホフ 光文社 Amazon チェーホフ全集(28作品収録) 新海外文学電子大系 作者:アントン・チェーホフ,鈴木三重吉 芙…

ファイナンス基礎用語のおさらい〜山澤光太郎『ビジネスマンのためのファイナンス入門ー55のキーワードで基礎からわかる』

ビジネスマンのためのファイナンス入門―55のキーワードで基礎からわかる 作者:山沢 光太郎 東洋経済新報社 Amazon なぜこの本を読むことにしたか なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解…

【おすすめ】むきだしの人間の弱さ〜葉真中顕『灼熱』

灼熱 作者:葉真中 顕 新潮社 Amazon いつのことだか、世界情勢についてあれこれ雑談しているとき、ふと思い立ったことを口にした。 ーー核保有国同士では戦争は起こらない。少なくとも核戦争は絶対起こらない。なぜなら核兵器の恐ろしさを知っているから。そ…

バフェット教授の教え〜D. Pecaut & C. Wrenn “University of Berkshire Hathaway”

University of Berkshire Hathaway: 30 Years of Lessons Learned from Warren Buffett & Charlie Munger at the Annual Shareholders Meeting 作者:Pecaut, Daniel,Wrenn, Corey Pecaut and Company Amazon なぜこの本を読むことにしたか なぜわたしはこの…

金融危機を繰返さないためにできること〜M. King “The End of Alchemy”

The End of Alchemy: Money, Banking and the Future of the Global Economy 作者:King, Mervyn Little, Brown Book Group Amazon 錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来 作者:マーヴィン・キング 日本経済新聞出版 Amazon なぜこの本を読むことにした…

恐れを抱かずにはいられない人間の宿命〜貴志祐介『天使の囀り』

貴志祐介さんの小説を読んだのは〈リング〉シリーズから始まるホラーブームの真っ最中、『ISOLA - 13番めの人格- 』が最初。主人公の賀茂由香里は人の強い感情を読みとることができるエンパスで、長期入院中の多重人格者・森谷千尋に会う。彼女の中には十二…

救命救急の現場にみられる冷徹と人情〜浜辺祐一『救命センター カンファレンス・ノート』

著者の浜辺祐一氏は現役の墨東病院救命救急センター部長で、2021年の東京パラリンピックで組織委員会より重症者受け入れを要請された際、 「救命救急センターは本来、突発、不測の重症患者に備えるものであり、予定された行事のバックアップをするものではな…

日常生活にまぎれた悪夢がむき出しにされる瞬間〜宮部みゆき『希望荘』

宮部みゆきさんの〈杉村三郎シリーズ〉の第4作。4篇の中編小説がおさめられている。〈杉村三郎シリーズ〉を読むのはこれで2冊目で、1冊目『昨日がなければ明日もない』は別のブログ記事に書いた。 日常生活の中に立ちこめる黒雲〜宮部みゆき『昨日がなけ…

日常生活の中に立ちこめる黒雲〜宮部みゆき『昨日がなければ明日もない』

宮部みゆきさんの〈杉村三郎シリーズ〉の第5作。3篇の中編小説がおさめられていて、短いからさくさく読みやすい。 〈杉村三郎シリーズ〉を読むのは実はこれが初めて。シリーズの順番は『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』『希望荘』から、この第5作『…

家畜の安寧に甘んじるなという叫び〜魯迅《小説集・呐喊》

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)の一冊。選出されているのは "Diary of a Madman and Other Stories" だが、"Diary of a Madman"(邦題《狂人日記》)は魯迅の小説集《呐喊》(中国語で「…

[テーマ読書](未完 28 / 100)世界最高の文学100冊を読んでみた

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)というものがあることを知り、全作読んでみることにした。 Library of World Literature » Bokklubben 目標は2030年までに全作読破。英語原著はできるだけ…